いきおくれ女子いろいろウォッチ

映画の備忘録として

痴漢死すべし

映画をみていた。チカンが出た。どついて撃退した。

以上。

だけの話なのだが、最近考えていた事と少しかぶる部分もあったので書いておこうと思う。

 

その日は名画座の2本立てだった。

一本目は『ニューシネマパラダイス』。右隣は年配の男性、左隣は年配の女性だった。映画が終了してからトイレに行って、戻ってきたら左隣には男性が座っていた。

これは別段不思議な事ではない。

2本目は『地獄の黙示録』である。名作だが、女性は苦手な人がいるかもしれない映画だ。

予告、そして映画がはじまる。そこで、あれ?と思った。なんだか左隣の男性が妙に私寄りなのだ。

しかし、私のチケット代は肘掛けから肘掛けまでの範囲のみである。それ以外は私のスペースではない。ちょっと気になったがみている映画は『地獄の黙示録』である。オープニングからアレである。すぐに引き込まれて映画に集中した。

私は集中するとまわりが見えなくなる、非常に映画館向きの人間である。映画に集中すると周りが目に入らず、映画が終わってから「そういえば、今日はうるさかったな。」と思うタイプだ。前の席で人がしゃべっていても、スクリーンに集中してしまえば大丈夫。

そしてその時私が見ていたのは『地獄の黙示録』である。これから何が起こるか全部知っているが、何度見ても見飽きる事などない、あの『地獄の黙示録』だ。すぐに全く周りが気にならなくなる。

 

が、しかし、なんか左隣の男性が足をくっつけてくるのだよ。まぁ、普通ぐいっと押し返すよな!

そして、また映画に集中する。

 

そして、また、なんかおかしい、と思った。それまで映画に集中していたのに、ふと違和感を感じて現実に引き戻された。

そして、おなかのあたりの空間を探ると手がある!私の手じやない!!触られる一歩手前といった感じだった。

気付いた瞬間、ブチ切れた。

私は結構我慢強い方なのだが、切れる時には0.01秒でアドレナリンが噴き出す。考えるより先に手が出た。

左隣の男性をどつ…もとい、何発かつついた。(ぐーだけど。)「何しているのよ!」と女性らしく、しかし毅然と抗議した(はず。完全に頭に血が上っていた。もしかしたら、もう少し乱暴だったかも。いやん。)

すいません、すいません、と言いながらその男性は退席した。

そして、私は引き続き映画を鑑賞した。

だって見ている映画は『地獄の黙示録』なのだ。

そりゃ、ゴアゴアの朝のナパーム弾はとっくに終わっていたよ。プレイメイト達の狂乱も終わっていたよ。ド・ラン橋の狂気も終了していましたよ。

だけど、これから山海塾がワラワラ出てきて、カーツ大佐が出てくるのだ。マーティン・シーンのギャランドゥが血まみれ泥まみれになり、雨がそぼ降る中、イケメンだけど寂しい前髪に「こいつきっとハゲるわ。」としみじみ思うあのラストはこれからなのだ。

 

よく、あの魂をガシガシ削ってくる『地獄の黙示録』を見ながら痴漢をしようなどというクソな事を考える事が出来るな。

クソクズがっっ。

 

私はその日はノースリーブの膝丈のワンピースを着ていた。特に露出度の高い格好をしていたわけではない。ポリエステルのシワになりにくい、旅行や映画鑑賞にピッタリのワンピースだ。

しかし、もしも私が露出度の高い格好をしていたとしても、全く私には落ち度はない。

映画館で隣の席に座った女性の身体に勝手に男性が触るなどという事は、いかなる事情でも認められない。

 

少し前に、中高校の校則でポニーテール禁止、という記事を読んだ。理由が確か「男子生徒の劣情を煽るから。」

はっ?

いや、いや、いや、女子生徒のポニーテールに罪はないでしょう。仮に劣情を煽られても、そこは男性諸君が我慢して下さい。

何故、女子生徒がポニーテールを禁止されなければならないのか。それならいっそのこと共学やめろ、と思った。

 痴漢などの性犯罪の原因は、加害者に求められるべきものである。被害者に原因を押し付けて、「お前達が加害男性の劣情を煽ったからだ。」などと言われるのは明らかにおかしい。

 

私が反省すべき点はただ一つ、左隣の相手に対してとっさに右手で反撃してしまった点だ。落ち着いて後から考えると、相手は左側にいるんだから、左の裏拳だろう。どう考えても。

う〜〜んやはり私はヘッポコだ。

 

しかし、さらに後から考えると、『触る』という痴漢行為が目的というより、『触るふりをして相手を不快にさせる』事が目的の愉快犯だったのかもしれないな、と思った。

映画のはじめのうちにも、なんか足をくっつけてきたりしていたし。結構あからさまに体を寄せてきていたし。

だから、手を突っ込んできて、女性を気持ち悪い〜〜ってさせて、振り払わせるくらいのつもりだったのかも…触られてなかったしな…そういえば…
だけど、映画に夢中になっているオタクにそんなの通じないから!映画に夢中だから深読みとかできないから!手なんかなかなか気がつかないから!悪いけど、手に気がついた瞬間にブチ切れるから!そんで、排除するから!

あんがーまねじめんと??知らん!

だって映画見たいんだもん!!だってオタクなんだもん!!

 

地獄の黙示録』は本当に素晴らしい映画なのだが、何度も集中を乱された人生最悪の鑑賞環境だった。

 

 しかし。

後日、極上の爆音で『地獄の黙示録』を見ることが出来たのだよ。

本当に素晴らしかった。最高の口直しだった。

なんか今炎上していて大変みたいだが、次回は爆音ではないが楽しみな企画なので、頑張って欲しい。