いきおくれ女子いろいろウォッチ

映画の備忘録として

ぎりぎりを攻めるーV.I.Pそれから新しき世界に悪女、そして人魚伝説

先週の20日水曜日に、時間の都合が良かったので適当に「V.I.Pー修羅の獣たち」を見に行ったのだが、凄かった。。色々展開に甘いところもあるのだが、あまりにもパワフル過ぎて、ちょっとした粗など気にならない映画だった。

 

韓国のかなりハードな映画。

北朝鮮の要人の息子である殺人鬼、脱北した彼から情報を得るため犯罪を隠蔽しようとするCIAとCIAに協力する国情院、殺人鬼を追う韓国の警察と脱北してまで殺人鬼を追う元工作員、それぞれの攻防戦を、激しいアクションと容赦ない残虐な描写で描く、クライムアクション。

 

とにかく、すごい残忍で陰惨なシーンがこれでもかと続くので、全く人にすすめる事など出来ないタイプの映画だった。

孤狼の血」も日本映画としてはかなり頑張っていたけど、「V.I.P」に比べると大人しくて、小綺麗な映画に思える。それくらい、振り切っていた。

ただ、あまりの残酷な描写が韓国では非難され、興行的にはイマイチだったらしい。

特に、映画の中で女性の被害者がかなり悲惨な目にあう為、女性をポルノとして消費しているとか、女性蔑視と叩かれたらしい。

(検索して表示された、多分韓流ドラマ系の記事2,3本しかみてないけど。あと、監督のインタビューでも、女性蔑視で叩かれたという話しがあった。)

確かに、被害者は酷たらしい目にあうのだが、私は凄惨な表現というより非常に計算され尽くしたカットに圧倒された。劇場公開の映画でここまでやるか、劇場公開できるのか、というギリギリのところを攻めていた、と思う。人間の残酷さを、映像化し得る限界まで表現していた。

確かに悪趣味だし、やり過ぎと批判されるのもわかる。でも、監督もそんな事は百も承知で、挑戦したのだと思う。

 

この「V.I.P」は「新しき世界」のパク・フンジョン監督の最新作。

ストーリーは圧倒的に「新しき世界」の方が面白かった。犯人の殺人鬼とかちょっとステレオタイプだったし、構成も私の好みを言えばプロローグとエピローグはいらなかったと思う。せっかくあそこまで残酷さの表現にこだわったのだから、映像だけでなく物語もドライにきめた方がよかった。「新しき世界」は少しバタ臭い感じがあって、それがまた良かったんだけど、「V.I.P」にはバタ臭い演出はいらなかった。

 

「新しき世界」は劇場公開時は見逃してしまったのだが、hagexさんがブログで絶賛していたので、ずっと見てみたいなぁ〜と思ってチェックしていた。去年、彩プロの企画で平日昼間に新宿で上映があったので、有り余っている年休取って見に行って来た。すごい面白かった。

 

先日の事件は非常にショックだった。その後の記事やコメントにも酷いものがありショックだった。

hagexさんはたまに映画の記事も書いていて、「人魚伝説」とかを押していた事もあった。「人魚伝説」は「アワビ漁で暮らす新婚夫婦が原発に関わる陰謀に巻き込まれ、夫が殺され、その罪を着せられた妻が復讐する」物語。妻がモリを武器として関係者を襲撃するクライマックスの血の池地獄は、素晴らしい。主演の白都真理の体を張った熱演も素晴らしく、襲われるシーンなんて、ただ白都真理の美しくもセクシーな身体を血まみれにしたいだけなんじゃないのか…というくらい、血まみれの映画。

なんだけど、非常にロマンチックな映画でもあると思う。

年初に公開された韓国映画の「悪女」は、アクションが凄い、という前評判だったので非常に楽しみにしていたのだが、確かにアクションと映像は凄かったのだが、ストーリーが…別にストーリーが破綻しているとかではなく、ただのメロドラマで残念、といった感じだった。

私の中でダメな韓国映画の代表がある。それは「情緒に流された泣き映画」と名付けているのだが、とにかく泣かせようと感情的に訴えかけようとする、安いメロドラマのような映画だ。

「悪女」は、残念ながらそれだった。期待していただけに、非常にガッカリした。

「人魚伝説」は情緒に流されすぎない、叙情的な映画だった。ドライに物語を描きながら、どこか物哀しさがある映画で、私も好きな映画だ。

少しおちゃらけて「人魚伝説」をおしているhagexさんをみて、この人は結構ロマンチストなのかな、と勝手に思っていた。まぁ、映画好きなんて、大体ロマンチストだけどね。

 

もうブログが更新される事はないとわかっているのに、それでもこの一週間ブログをチェックして、その度に現実を突きつけられて、どきりとしている。彼のいない世界を生きているのだ、と酷く動揺する。

私は、ずっと素人の駄文など読む価値なし、と思っていて、ブログなんて興味無かったのだが、BLOGOSの山本一郎さんの記事からHagex-day infoに飛ばされ、素人の駄文の面白さに目覚め、読み漁るようになった。そして、素人の駄文を公開するようになった。とても楽しかった。

hagexさんに感謝を、そしてご冥福をお祈りいたします。